国有地を格安価格で取得し国会でも大問題となっている森友学園。ここが運営する塚本幼稚園の入園・進級の案内がネットで炎上しています.
こちらの園からの便りに「発達障害児がこんなに増えたのは親の子どもへの教育力、しつけの低下がもたらしたからだ」と暗に書かれています。
この件を元に、“子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方“の著者の立石美津子が発達障害児についての誤解と正しい理解についてお伝えします。
これから幼稚園、保育園に入園して、周りにそんなお友だちがいたら参考にしてください。
発達障害に代表される自閉症は親の養育態度により発生するものではありません。
ですから下記は誤りです。
(1)小さい頃、あまり抱っこしてやらなかったから愛情不足で自閉症児になった
(2)テレビやスマホを見せ過ぎたから自閉症児になった
(3)言葉をあまりかけてやらなかったから自閉症になった
(4)友達と遊ばせなかったから自閉症になった
原因は先天的な脳機能障害です。ただ、なぜその障害が引き起こされるのか、まだはっきりとは解明されてはいません。
お爺さんになってもお婆さんになっても発達障害者のままです。「昔、私は自閉症だったが今は治っている」なんてことは起こらないのです。
自閉症啓発ポスターに「僕は自閉症になったんじゃない。自閉症に生まれてきただけ」というフレーズがありますが、この言葉通りです。
冷蔵庫マザーsource:http://www.shutterstock.com/
かつて自閉症の子を持つ親は“冷蔵庫マザー=リフリジェレータ・マザー”と呼ばれていた時代もありました。
「そんな酷い言葉があったの~!」とびっくりするかもしれませんが、「母親が子どもを冷たく突き放し、拒絶するために“きずな”を作れず、そのことが原因で子どもが自閉症になった」と言われていました。
昔は正しい情報も今ほどなかったため、知識のない年配者の中には誤解している人がいます。
例えばお姑さんからお嫁さんであるママが「発達障害児だなんて!あんたの血筋が悪いんだ!」と責められたり、夫から「お前がちゃんとしつけていないから、こんな風になってしまったんだ」と理解が得られないこともあります。中には家族間に溝が出来て離婚に至る人もいます。
また、障害のある子を育てていることを隠す家族もいます。でも、子どもにとっては「家族が自分のことを隠したい存在だと思っている」ことであり、子どもに対してとても失礼なことだ思うのです。
間違った認識が幼児期から
幼稚園の先生の声は子どもにとっては“神の声”です。
「○○ちゃんはちっともじっとしていられないお行儀の悪い子ね」
「家でもちゃんとお母さんに教えてもらっていないのね。みんな真似してはダメですよ」
たとえ、あからさまにこのような言葉を言わなくても「発達障害は親のしつけがなっちゃないため起こったものだ」という間違った認識を周りの大人が持っていることで、子どもたちに偏見の気持ちが芽生えます。小学校に入学してもクラスメートのことを差別するでしょう。
今は発達障害者支援法や障害者差別解消法などの法律ができ、住みやすい社会になりつつあります。けれども、一人一人が正しい理解をしていないと“絵に描いた餅”になってしまいます。
教育に携わる幼稚園の副園長からこの案内が実際に配布されたのならば、驚くと同時に残念に思います。
【参考】
※ @noiehoie – twitter
※ 理解する ~発達障害って何だろう?~ – 政府広報オンライン
※ Photographee.eu、Suzanne Tucker – Shtterstock